イベントでお話ししたことの補足など。

2015年7月21日

フォロワーの皆様、いつも応援ありがとうございます。

相変わらず毎日たくさんの(フクシゴたちの挨拶リプ等に対する)お礼・反応リプライをいただいていて、ふくしばPも可能なかぎり目を通させていただいております。また、最近はお仕事のことや資格取得のことについてご相談いただくことなどもたまにあったりしまして、そういう場合には余裕があれば個別にお返事させていただいております。本当に皆様に可愛がっていただいているのを毎日実感しております~。

さて、本日はイベント参加のご報告です。
先日ふくしばPも所属するNPO法人 Social Change Agency(SCA)主催のイベント「福祉ってどんな仕事?-ソーシャルワーカーの可能性 2015-」にて、ソーシャルワーカーを目指す多くのひとたちの前で自分の仕事についてお話させていただく機会がありました。精神医療・障害・医療・介護・教育・地域の6領域で活動している現役のソーシャルワーカーが、自分たちの仕事についてプレゼンしあう、ソーシャルワーカーの見本市のようなイベントで、業務の内容はもちろん、どんな姿勢で仕事に臨んでいるのか、やりがいはどんなことなのか、これからソーシャルワーカーになりたいひとへ伝えたいことなど、登壇者がそれぞれの思いをアツくプレゼンしてくださいました。私も障害者福祉領域ではたらくソーシャルワーカーとして登壇させていただくことになりまして、緊張もしましたが身の引き締まる思いでお話させていただきました。

今さらになりますが、「ソーシャルワーカー」というのは、福祉相談・連携調整の専門家で、高齢者や障害者、子どもやその家族など、社会での生きづらさや暮らしにくさを感じているさまざまなひとたちの相談に乗ったり、福祉サービスやさまざまな社会資源などを利用してそれらを解決するお手伝いをしたりするお仕事です。ちなみに「社会福祉士」や「精神保健福祉士」というのはソーシャルワーカーの国家資格の名前で、福祉に関する一定の知識や技術を修得したという証になるわけです。そのソーシャルワーカーの大事な仕事のひとつとして、自分たちの実践を広く市民に知ってもらうというのがあります(チーム・フクシゴでやっていることもまさにコレです)。ただでさえ、認知度の低い職種で名前もなんだかよく分からないソーシャルワーカーですから、私たちがふだんどんな場所にいて、どのように困りごとを抱えたひとたちと向き合っていて、どんなやり方でそれらを解決していくのか、なかなか皆様の目や耳に届けられないのが現状です。そこで、ソーシャルワーカーのアクションや研鑽を支援するSCAが、さまざまな領域で活動するソーシャルワーカーたちの声を横断的に聞くことのできる場を設定したのが今回のイベントでした。

このイベントで登壇してくださったみなさんは本当に魅力的なお話をしてくださったので、私は心底安心しきっておりました。特に地域領域で話してくださった間庭さんの「安心しろ、ソーシャルワーカーだ!」のセリフにはシビレました! だからというわけではないのかもしれませんが、かなり調子に乗ってペラペラと突拍子もないことを喋りすぎてしまったなぁと後になって猛省…。ですので、ここで少し弁明というか発言の補足をさせていただければと存じます。

たしか仕事上のストレスケアに関するご質問にお答えする場面だったと思うのですが、そこで私は「仕事がしんどいなら手を抜けば良いのでは?」「ワーカーができることには限界があるのだから、それをわきまえねば」というようなお答えをしたかと思います。これは本当に言葉足らずで、仮にもソーシャルワーカーを目指そうとしている若者たちが多く参加している場でもっと丁寧な言い方があったのではないかなと思い返しております。発言の主旨はおおむねこの通りなのですが、ちょっと乱暴な言い方になってしまったので少し補完するとですね、ソーシャルワーカーもひとりの人間ですから個々がやれることにはどうしても限度があります。それを超えてケースに介入してしまうと、まれにその努力が実ることもありますが、ワーカー自らの心身に過剰な負担がかかるだけでなく、支援している相手にとってもそれぞれのペースが乱されたりして結果的にあまり好ましくない状況を生み出してしまうということが往々にして起き得ます。介護領域で登壇してくださった岸さんもおっしゃっていましたが、特に志が高い方が多い福祉職ほど、強い使命感に燃えたぎっていたりして、そういう状況に陥りがちです。良い支援(というものがあるとしたら)が成立しないことで当事者だけでなくソーシャルワーカーも地域の資源もそれらを取り巻く環境全体がせっかく持っているチカラを無駄に削いでいくことになり、その損失は計り知れないでしょう。であれば、自分にできることや相手にできること、福祉サービスにできること、地域にできることなど、ひとを取り巻く環境全体の強みをそれぞれつぶさに把握して、それらの限られた組み合わせの中でどうやったら最大限の効果を上げられるか、またそれらをできるだけ少ないエネルギーで効率的に実現できるかを徹底的に追求することが、私たちにできる全てなのだと思います。だからソーシャルワークは、とことんクリエイティブなお仕事なのです(精神医療領域の金子さんも懇親会でおっしゃっていました)。
私も自分のチカラではどうにもできないことに悩む時間をできるだけ削って、できることにめいっぱいチカラを注ぐことを大事にしているつもりです。もちろん自分の力不足を感じることも多々あります。そういうときは、自分の力不足を潔く認め、まわりのひとに助けを求めます。逆にまわりにそういうひとがいれば、私も助けに入ります。福祉サービスも福祉職もそういう助け合いで成り立っているのです。福祉職の実践でさえ助け合いで成り立っているのに、シビアな困りごとを抱えたひとたちの人生を軽々と救えるなんて、おこがましいにもほどがあるのです。そんなひとたちの人生を実際に立て直したり支えたりしていくのは、福祉の専門職でもなんでもない、そのひとに近しい存在の家族や友人だったりするのです。
ただ、できることに限度があるといっても、実はその上限ははるか上に存在していて、可能性だけなら無限大です。たとえ「できること」に限度があっても「できうること」はたくさんあるかもしれないのです。生活問題にかかわるソーシャルワーカーにとって暮らしにまつわるすべてのことが支援の糧となりえます。だから私たちは常に広くアンテナを張って、福祉にかかわらず人としてのさまざまな経験を積み重ねることによって世の中に無数の価値観があることを学び、想像し、受容し、その引き出しの中からいろんな手を繰り出せるよう鍛練していくのです。教育領域の大貫さんもおっしゃっていたように、「福祉は感性」なのです。相手がどんな人生を送ってきて、これからどう生きていきたいのか、どんなことに悩み、どんなことに喜びを感じるのか。そういうコアな部分に心から寄り添ってくれる人間にこそ、ひとは信頼をおき、自分の大事な人生の一場面に立ち入らせることを許してもらえるのです。医療領域の飯島さんも「ソーシャルワーカーには、どんなひとでも、どんなときでも、ひとの可能性を信じ認め合うことが求められる」と話してくれました。

つらつら書いてまいりましたが、言葉が足りなかった部分を少しは補えたでしょうか…。言葉にしてみて、確かにきわめるのはかなり難しいけれど、これほどやりがいのある仕事は他にないと今改めて感じています。たいへんなこともあるけれど、今回こういう場に参加したことで大きなつながりができた方もたくさんいたのではないでしょうか。困ったときにその困難さに共感できる、またそれを乗り越えたときの喜びを分かち合える仲間がいるということは、もうそれだけで大きなチカラなのです。こういうつながりをどんどん広げていける場づくりに、私も少しばかりお手伝いできたら嬉しい限りです。

最後に自分のことばで恐縮ですが。
「ソーシャルワーカーは、世界でいちばん面白くて、やりがいのある職業です!」

ちなみに当日プレゼンで使ったスライドをウェブで公開しております。
よろしければ、ご参考までにご覧くださいませ。
(下記のタイトルをクリックするとslideshareのページにジャンプします)
福祉ってどんな仕事?20150705 (fukushiba)

2015年7月のSCAイベント画像
↑当日の様子。かなり緊張しています(笑)。